ごめんなさい。俺の運命の恋人が超絶お怒りです。1(11話~20話)

小説
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第11話 透明人間になってみた

(えーっと、何だっけ? 話を整理すると異世界召喚された私は勇者でも聖女でもなく、救世主なわけね? それで【強き者】であるあの王子と私が【運命の恋人】同士で? 二人で力を合わせて魔物退治をしてくれって騒いでいるわけね、あの人達は)
 冷めた目で前方の集団を一瞥し、愛那は思考を続ける。
(ここにいること事態が違和感だから気づいてなかったけど、言葉がわかる。不思議。日本語じゃないのに話している意味がわかるっていうのは、異世界召喚のお約束なのね)
 日本にはアニメや漫画やゲーム、小説などで、たくさんの異世界召喚ものがあるが、愛那はアニメ一作品、漫画一作品だけの知識しかない。ちなみに異世界転生ものの漫画をもう一作品だけ読んで知っているのみである。
(私、救世主なんだから何か凄い力持ってるんじゃないの? 言葉がわかるのだってスキルの一つなんでしょ?)
「レディル様! 王太子として、この国のことを一番にお考え下さい!」
「考えている! 考えているが、譲れるものと譲れないものがあるんだ私には!!」
「殿下!」
(……あの人達、私がいなくなったら困るでしょうね。救世主ですもんね、私。……びっくりするくらいずっと無視され続けているけど。……逃げようかな、ここから。こっそり、捕まらないように。出来ないかな? ……たとえば、そう。透明人間になったりして)
 愛那が両手を胸の高さまで上げて手の平をジッと見つめる。
(透明になれ、透明になれ)
 そう念じ続けると、ポッと体の中に熱を感じた。
(これ、こういうの、魔力だっけ? わからないけど、ある。体の中に感じる。今まで感じたことがない力が)
 すると、愛那の体がスウッと消え始めた。
(!! すごい! 本当に消えた! それに、体だけじゃなくて制服も透けてる!)
 感動と興奮を同時に味わいながら自分の体をあちこちから確認する。
(よし! ふふっ。それじゃあ、逃げるとしますか)
 一応気づかれないように、そうっと立ち上がった愛那は、不敵な笑みを浮かべ歩き出す。
 そして入り口で一度だけ振り返ると、自分の【運命の恋人】とやらをもう一度視界に入れる。
(運命の恋人? あれと? 冗談じゃない!!)
 フンッとそっぽを向く愛那。

 こうして異世界召喚された少女は、神殿から姿を消した。

第12話 ステータスオープン!

(うわあ、綺麗な町並み! これぞ中世のヨーロッパのような、ファンタジーの世界!)

 愛那は透明な姿のまま城下町に来ていた。
 噴水広場にベンチがあったので、そこに座っていったん休憩する。
「海外旅行に来てるみたい」
 水の音に癒やされ、ぽかぽかとした日差しが心地良い。 
 神殿を出たら、そこはお城の敷地内で、そこから脱出するまでかなり時間がかかった。とにかく広かった。
 お城の中を見て回りたい気持ちもあったが、とにかく捕まりたくなかったので必死だった。
 ようやく今、一息つけることが出来たのだ。
「……なんて、和んでる状況じゃないのよね」
 緩んだ表情を引き締める。
 この周囲に人の姿はないし、近づいてくる姿もないことを確認する。
「さて、と。それじゃあやってみますか!」
 愛那は逃げている最中、思い出したことがあって、それを試したくてうずうずしていた。
 異世界召喚された時のお約束。
「異世界召喚? 知ってる。こう言えばいいんでしょ?」
 フフッと笑う。

「ステータスオープン!」

 シ────ン。
 どや顔で、自信満々に言ったのに、何故か何もおこらない。
(…………?) 
 しばらく待ってみたが、やはり何もおこらない。
「……あれ?」
 愛那は首を傾げた。
(おかしいな? これを言ったら透明な板みたいなステータス画面が出るのはアニメも漫画も共通だったのに……)
 自分の能力を知ることの出来るステータス画面。
 他にどんなことが出来るのか、わくわくしていた愛那がショックを受ける。
「お約束っ、異世界召喚された時のお約束でしょ!? 何で!? ステータス! ステータスオープン!」
 やはり何もおこらない。
 ふらりと体をベンチの背もたれに預けた愛那は「えぇ〰〰〰〰」と天を仰いだ。

第13話 私の中の倫理観がそれはダメって叫んでる!

 しばらくぼんやりしていた愛那は、こちらへと近づいてくる仲が良さそうな老夫婦に気づくと、ベンチを譲るために立ち上がって歩き始める。
(これからどうしよう? ステータスの確認は出来ないし、次にどうするか考えてなかったな……)
「お腹すいた……」
 立ち止まってお腹をさする。
「あ~もう!」
 失敗した! と、頭を抱える。
(お城から食べ物持ってくればよかった!)
 透明人間状態の今の愛那なら、捕まることなく簡単に、その辺のお店からでも食べ物を盗むことが出来るだろう。
 だが……。
(で……出来ない! 盗み! ダメ! 絶対! 私の中の倫理観がそれはダメって叫んでる! けど! ……あの王様と王子のいるお城からなら、当然の慰謝料として何を盗んでも心は痛まない)
 王子のことを思い出した愛那の表情がひどく冷めたものになる。
「……お城には戻らない。けど、空腹には勝てない」
 クルクルと愛那のお腹が可愛く鳴いた。
(この恰好もダメよね)
 今は透明人間のままだからいいが、こちらの世界ではないデザインの制服を着ていては、やはり目立ってしまうだろう。
 食べ物だけじゃなく、着替えも必要だ。
 夜になったら寝る場所も確保しなくてはいけない。
 となると、のんびりなんかしてられない。
 この世界のことを何にもわかっていないんだから、やらなきゃいけないことが見つかった。
「まずは、情報収集をしなくては!」
 気合いの入った愛那の声に、びっくりした周囲の人達が、声の主を見つけようとキョロキョロと探している。
 それに気づくことなく、愛那はお店が建ち並ぶ方向へと向かっていった。

第14話 【索敵】使って探してます

 城を出たライツはスキルの【索敵】を使い、行方不明中の【運命の恋人】を探していた。
 ライツから少し離れて後ろを歩いているのは、彼の側近である25歳のハリアス・ドーバー伯爵と、子爵家次男、19歳のモラン・ローレン。
 ライツの【鑑定】スキルのことを知るのは側近の中ではこの二名のみである。
 この周辺の地図がライツの目の前に表示されている。
【索敵】によるもので、ライツにしか見えていない。
 地図の中で点滅している赤いハートマーク。
 これが【運命の恋人】がいる現在地なのだろう。
 ちなみに魔物の場合は黒い正方形のマーク。
 人間は白の三角のマークで表示される。
「驚きました。本当に誰にも見つからずに城内から出ていたんですね」
「異世界から召還された救世主様だ。どんな能力が使われたのか、想像が出来ないな」
 モランとハリアスの会話がライツにも届く。
(確かに。【鑑定】がそうだったように、異世界から来た救世主の持つスキルは、この世界にはないスキルの可能性が高い。この【索敵】のお陰で居場所がつかめそうだが、無事につかまえて連れて戻ることが可能だろうか?)
 こちらの都合で勝手に異世界へと召喚をしておいて、怒らせるようなことをした王やレディルが全面的に悪いのだから、城に戻りたくないと言われたら、戻らなくてもいいだろう。
(ずっと探していた俺の【運命の恋人】が、まさか異世界にいたとは……)
 とにかく、その少女が望むことは何でも叶えてあげたいとライツは思う。
(おそらく、一番の望みは叶えてあげられないのだから……)

第15話 衣食住を整えるにはお金が必要です

 情報収集のため、意気込んで人通りの多い商店街へと向かった愛那。
 姿を消したまま、あちらこちらと歩きまわり、いったん人のいない狭い路地へ入り込んで休憩する。
 店の看板やメニューなどで確認できたのは、話している内容だけでなく、この世界の文字の意味もわかるということ。
 魔物被害のせいで食料の品数が少なく、物価が高騰していること。
 この城下町は魔物の生息している場所から距離があるので、直接的な被害は今の所ないこと。
 お金は銅貨・銀貨・金貨といった硬貨でやりとりしていること。
「……お金が欲しい」
 お金があれば食べ物だって手に入るし、服だって買える。宿で寝ることも出来る。
 衣食住を整えるには、お金がいる。
 お金がいるなら働いて稼げばいい。
(こういう時、どうする?)
 ニヤッ。
「……知ってる。異世界にはあれがある! そう、冒険者ギルド!」
 薬草の採取や、魔物討伐の依頼などを達成させて報酬を得る組織。
 またしてもアニメと漫画の知識だが、魔物がいるのならあるはずだ。
 それに冒険者ギルドならステータスで確認出来なかった自分の能力を調べてもらえるかも知れない。

第16話 冒険者ギルドにやってきた

「見つけた!」
 大きな建物の前、冒険者ギルドの看板を見上げ声を上げる愛那。
 相変わらず姿が透明のままなのは、冒険者ギルドが実際どんな所なのかをまず知るためだ。
 何も分からないまま、いきなり冒険者登録をする勇気はさすがになかった。
 愛那は開かれた大きな入り口を通って中に入る。
 まず目に入ったのは、たくさん設置された椅子。
 奥に受付窓口が五つ並んである。
 右手の壁にはボードに依頼書が貼り付けてあり、左手には奥に階段、手前にはケースなどに商品を並べたお店がある。
 紺色の制服を着たギルドの職員の姿が数名。
 冒険者だろう人達の数は少ない。
 愛那はまず、冒険者らしき人達がいる、右手の方へと向かった。
 剣を腰に差し、防具を身につけている男達二人と、魔法使いの杖を持った女が一人一緒にボードの依頼書を見ながら話をしている。
「各地の依頼書がこんなにも……。やはり、どこの騎士団も人手不足だな」
「ああ、どこに行っても魔物の被害と討伐で手が回らないらしい」
「騎士団が弱小の領には、特に人が必要だっていうのに、資金繰りが厳しくて人も回らないってね」
「俺達みたいな冒険者は、思い入れのある故郷とかじゃないかぎり、結局条件の良い所を選んじまうからな」
 聞こえてきた会話に愛那の顔が曇る。
(ここでも、町の人達も、聞こえてくるのは魔物被害の話ばかり)
 魔物の討伐を期待されて異世界召喚された救世主。
(何で私が、罪悪感を抱かないといけないの……)

第17話 登録するのは無理そうです

 受付窓口は閑散としている。
 冒険者登録の手続きが見たい愛那は、しばらく受付近くの椅子に座って誰か来ないかと待っていた。
(まあ、そんなに都合良く、冒険者登録したい人が来るわけないか)
 そう思ったところで、愛那よりも年下であろう少年三人組が窓口へと向かう姿が目に入った。
「オレ達、冒険者登録したいんだけど」
 少年の一人が窓口のお姉さんにそう告げると、愛那は(来た────っ!)とテンションを高くして立ち上がった。
 いそいそと少年達のいる窓口へと近づく愛那。
「三人とも、登録希望ですか?」
「はい」
「それじゃあ、この書類にそれぞれ記入して下さい。上から、今日の日付を書いてもらって、次に名前と年齢、出身地、現住所、学歴、そして、下の空欄には特技を書いて下さい」
(……あ、ダメだわ私。この時点で、名前と年齢しか記入できない)
 少年達が記入した書類を窓口のお姉さんが確認する。
「風魔法に火魔法、水魔法ですね。それでは三人とも、実技の資格試験会場は二階ですので、そちらの階段で移動します。職員が案内しますのでお待ち下さい」
(実技の資格試験!? 試験があるんだ? って、待って待って、魔法?)
 ギルド職員の男性を先頭に、階段を上って移動する少年達の後を追いながら、愛那は期待に顔を輝かせる。
(もしかしなくても、魔法が見れる?)

第18話 冒険者ギルドの資格試験

 二階は体育館のような作りだった。
 大きな魔法陣が描かれ、その中央に高さ二メートル位の、ゴツゴツとした石の塊が置かれてある。
 壁際で椅子に座っていた男が立ち上がる。
 ギルド職員の制服は着ておらず、運動をするような動きやすい恰好をしている。
(あの人強そう。すごい筋肉)
「ダルサスさん。こちらの三名です。お願いします」
 ダルサスと呼ばれた黒髪の男は、ギルド職員の男から書類を受け取る。
「俺はここの試験官、ダルサス・ガルズだ」
 そう挨拶して少年達が先程記入した書類に目を通す。
「14歳か、若いな。学友か?」
「は、はい」
 緊張している少年達が頷き一人が答える。
「火魔法を使うサム・アルベルトは?」
「オレです」
 茶髪の少年が答える。
「風魔法のサーベン・ハルツ」
「僕です」
 金髪の少年が答える。
「水魔法のトーマ・ダッセル」
「おれです」
 赤茶髪の少年が答える。
「冒険者ギルドの登録は13歳からだが、魔法使いは通常、学校を卒業してから登録に来る者が多い。余程自分の能力に自信があるということか?」
 ダルサスがそう少年達に問いかける。
 三人は目線を合わせた後、言いづらそうにサムが答える。
「いえ、自信なんてオレ達もまだ。……学校の先生に勧められたから来たんです」
「……おれ達平民だから」
「平民だから?」
 ダルサスが曇った表情のトーマに聞き返す。
「魔物の討伐に人手が足りないからって」
「成績良くって、優秀だからとか言ってたけど、同じ位の実力の貴族の学生には、声かけなんてしてないくせに」
「そうか……。家族は何て言ってた?」
「こんなご時世だから仕方ないって」
「稼げば、家の生活も楽になるし」
「うん」
(この子達、まだ学生で、好きで冒険者ギルドの登録に来たわけじゃないのね)
 愛那は不本意な顔をした三人の少年を見て思う。
「なるほどな。まあ、言いたいことはあるが、とりあえず、実力を見てからにしよう」

第19話 学生の魔法使い達

「まずはこの距離からだ! 中央の石から同じ距離をとって、四方に分かれろ!」
 中央から五メートルの所に立ったダルサスの指示通り、少年達が移動する。
「あの石の塊は魔法攻撃を吸収する。まずは俺が見本をみせる。名前を呼んだらそれぞれ得意の魔法で石を攻撃しろ!」
「「「はい!」」」
(さっきまで不本意そうな顔をしてたのに……。真剣な顔。動きも速い)
 愛那は少年達の切り替えに感心する。
「魔法の威力とコントロールで実力を確認する! 威力が弱ければ石は光らない! 光れば合格! 光らなければやり直しは三回まで! 的に当てることが出来ないのは問題外だ!」 
「「「はいっ!」」」
「いくぞ! 炎よ……」
 ダルサスの右の掌からボォフッと炎が的に向かって直線に飛んでいく。
 炎を吸収した石から金色の光が輝いた。
(おおおおおっ!!)
 愛那が両手の指を組み、口を開いたまま感動している。
「サム! やれ!」
「はいっ! 炎よ!」
 両手を突き出したサムの掌から生まれた炎が的へと飛んでいく。
 石が光り「やった!」とサムが喜ぶ。
「よし! 次! サーベン!」
「はい! ……風よ……ッ!」
 サーベンの両手から生まれた風が、音を立て的へと向かう。
 光った石にサーベンはホッとして肩の力をぬく。
「よし! 次! トーマ!」
「はいっ! いきます! 水よ!」
 トーマの両手から水が生まれ的へと飛ぶ。
(よし! 光った! 三人とも成功! ……炎や風はともかく、水も吸収して消えるんだ。あの石どういう仕組みになってるんだろう?)
 嬉しそうな顔の少年三人組にダルサスが声をかける。
「よし! 今のは小手調べだ! 次! 距離を取るぞ! 俺と同じぐらい下がれ!」
「「「はい!」」」
 今度は的からの距離十メートル。
 先程と同じことを繰り返す。
 サムとサーベンは無事石を光らせることに成功した。
 だが、最後のトーマが失敗する。
 的に届いてはいたが、威力が弱かったのか、石が光らなかった。
「チャンスはあと二回! 集中しろ!」
 ダルサスに続いて仲間達が声を上げる。
「落ち着けトーマ! がんばれ!」
「おまえなら出来る!」
(がんばれトーマくん!!)
 突き出したトーマの両手が震えている。
「ッ! ……水よ!!」
 焦ったのか、二回目は的までどうにか届いたというくらい、あきらかに勢いが足りない。
(いやあああ! 失敗!)
 頭を抱える愛那。
「「トーマ!」」
「どうした! 魔力切れか!?」
 ダルサスの問いにトーマが違う、と首を振る。
「トーマ! オレらに実力差なんてないようなもんだろ!?」
「一緒に合格するぞ!」
 弱気な顔をしていたトーマが唇を噛みしめ気合いを入れる。
 そこにダルサスがトーマへと伝える。
「ラスト一回。一度深呼吸しろ」
「はい!」
「よし。そして、あの石を魔物と思え。魔法はイメージが大事だ。魔物を攻撃するつもりで魔法を放て!」
「はいっ!」
「よし! いけ!」
「水よ!!」
 ドバダダダダダダダッ!
(!)
 パアアァ
 力強い水魔法を吸収した石が光を放つ。
「やっ……たー! トーマ!」
「よしっ!」
(よかったー! トーマくん! がんばったー! おめでとう少年達ー!!)
 満面の笑みで愛那は、その場で何度も飛び跳ね喜んだ。

第20話 新人の導き手

「よし! 全員合格!」
 ダルサスが書類にそれぞれ合格のサインを記入する。
 少年達がダルサスの所へと集まり、書類を受け取ったギルド職員が手続きをするため一階へと下りる。
「お前達の歳でこれくらいの実力があれば上出来だ。登録を進めた先生とやらも、その辺の見極めは正しかったってことだろう」
 それを聞いた少年達が複雑な表情を浮かべる。
「平民と貴族を比べてもしょうがないぞ。貴族は貴族なりにその家の役割ってもんを担ってるんだ。学校の先生が口出しするはずもない。それに、今から冒険者として実力をつけるのは悪くない選択だ。将来は騎士団に入団するか貴族のお抱えになるか、考えてるんだろ?」
「はい」と頷く少年達。
「俺も平民でお前達の歳の頃には冒険者と学業を並行してやっていた。将来どこに身を置くにしろ、実力と経験があるとないとでは選ばれる確率が全然違う。選んでもらうんじゃなく、自分で選ぶくらいの人間になれ」
「……それでダルサスさんは、冒険者ギルドに就職することを選んだんですか?」
 サーベンが問う。
「いや、学校を卒業して一度は騎士団に入団した。が、いろいろあって、二年で辞めちまった。冒険者の方が俺には合ってた。ここで働いてるのは、新人の面倒をよくみてたら、そっちの才能を活かせとある方に進められてな。新人の面倒ばかりみてるから、自慢じゃないが、俺は冒険者の間では顔が広いぞ」
「へ~」
(なんかわかる! ダルサスさんって中学の時の体育の先生、浜山先生に似てる! 男らしくて面倒見の良いところ! 浜山先生は生徒からの人気高かったんだよね~)
「それで、だ。お前達、冒険者として依頼を受ける時は当分の間まず俺に相談しろ。下手な依頼を受けると、命を落とすことになるぞ」
 顔を強ばらせた少年達。
「下手な依頼って?」
 サムの問いにダルサスが答える。
「魔物が大量発生していて、今はどこの領地も人手が足りていない。実力も経験も足りていない新人が人手がない所へ行くのは特に危険だ。明らかに実力に合わない仕事でも、任される場合がある。新人を育てるような余裕がないんだ。仕方のないことだがな。一人でとか、お前達三人でとか、考えたりするなよ? 魔物討伐は人数が多ければ多いだけいい。今の時期は騎士団と行動を共にするのがいいだろう」
「はい」
「わかりました」
 頷く少年達。
「ルザハーツとか、アイダンハルスの騎士団なら比較的安心だな。知り合いもいるし、気にかけてくれるよう口添えも出来る。間違っても、新人が弱小騎士団に行こうなんてするなよ。命が惜しければな」
「「「はい!」」」

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